安土桃山時代・天正三年(1575)から一子相伝で継承する「城端蒔絵」の十六代目 小原治五右衛門さんのアトリエを訪ねた。
代々その名を襲名し、天覧品や茶道具などを制作している。
彼は城端曳山・庵屋台などの文化財保存修復にも従事し、職業は「城端」と答えるほど地元の城端町を愛している。
城端文化を築いてきた小原家。先代からは、世界史や日本史を学ぶ前に城端史を学びなさい、との教えがあった。
物を大切にする精神、助け合う心、土地に対する信頼・感謝、熱い心に人が集まる風土が、城端町にはあった。
それらを十六代目は大切に育み、作品に投影しているのだろうと思う。
十六代目が作る作品は、彼の精神性が表れている。
わたしたちも「着物」という伝統工芸の一つに携わる者として、大切にしたい「こころ」をも継承していきたいと感じた。
小原さんが出展する『第61回 日本伝統工芸富山展』は
5月27日(金)〜6月12日(日) 高岡市美術館にて開催される。